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痛みと苦しみは分けられるって、ホント!?

世界幸福デーにあたって『しあわせ』について思うこと

· SIY,神経科学,リサーチ


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この画像はDALE-Eで作成されました。実際の実験の画像ではありません。

 

こんにちは! しあわせリーダーズの朝野です。


『痛みと苦しみは分けられる』


弊社の提供している、グーグル生まれのリーダーシップ開発プログラム 『サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)』では、面白いもので、毎回集う受講者様によって気づきのポイントが変わります。EQ(心の知性)を高めたいという共通目的がある、多様な方々の起こすミラクルな化学反応です。
 
先月実施したグループでは「痛みと苦しみは分けられる」というテーマがみなさんの関心のひとつでした。
 
SIYプログラムで紹介している研究のひとつ、ウィスコンシン大学で行われた 実験で、研究者らは、瞑想長期経験者(以下、「瞑想熟練者」)は、入門レベルのトレーニングしか受けていない瞑想初心者に比べて、痛みを伴う刺激を加える前のセイリエンスネットワーク (Salience Network、SN)の活性化が低く、痛みを伴う刺激の停止後に不快感(自己申告)が低いことを発見しました。
 
瞑想熟練者と瞑想初心者に分けられた2つのグループの参加者は、前腕に痛みを伴う熱刺激を受けながらfMRIスキャンを受けます。
 
この実験は、脅威に対する脳の「警報システム」である扁桃体を含むセイリエンスネットワーク(SN)の活動の活性化と関係する、2つの反応を引き起こします。ひとつは、痛みが来ることに対する「予期ストレス」。もうひとつは痛みが去ったあとの「不快感」です。
 
瞑想熟練者の実験結果は非常に興味深いものでした。彼らの脳は、熱の刺激が加わっている間もセイリエンスネットワークが活性化していたものの、事前の扁桃体の活性化は少なく、その後の不快感も抑えられていました。そして、この研究のもう一つの興味深い発見は、瞑想熟練者にとっての「痛み」と「不快感」の分離です。瞑想の初心者と経験者は、熱が加えられている間、同じようなレベルの痛みの強さを報告しました。しかし、瞑想熟練者は、その経験に対する不快感が有意に低いと報告しました。これは、痛みと苦しみには違いがあり、注意力や思考の習慣が不快な状況の捉え方に大きく影響するということを示唆しています。

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aは、実験のプロセス(瞑想、腕に熱刺激をうける、不快感の報告)、bは、Novices(瞑想初心者)、Experts(瞑想熟練者)の熱が加えられている間の痛み(瞑想初心者と瞑想熟練者の間にほとんど違いがない)と、痛みが過ぎ去った後の不快感(両者に有意に差が出た)をあらわしています。(出所:Altered anterior insula activation during anticipation andexperience of painful stimuli in expert meditators https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3787201/

 

苦しみをこじらせる!?  

 

雑誌「プレジデント」の記事  「寝たきりで苦痛でも平常心を保てる」では、チンパンジーと人間の幸福度を決定的に分ける"ある習性"について書かれています。この中では、「人間は苦しみをこじらせる」といううまい表現でゴータマ・ブッダが弟子に伝えたとされる「(苦しみの)”一の矢”、“二の矢”」という表現を使って、どうこじらせるかの例を挙げています。
                 

  • 上司が理不尽な文句をつけてきたことに対し(一の矢)、「自分が悪かったのか、それともあの男がリーダー失格なのか」などと思い悩む(二の矢)
            
  • 同僚が昇進したことに対し(一の矢)、定期的に「私の能力が低いのか……」など自分を責める(二の矢)
             
             

 

いかがでしょうか。
「痛みと苦しみはわけられる」このフレーズを知っていること、自分の今の悩みや苦しみは、二の矢を放っていないだろうかと自問すること、この二つだけでも、悩み・苦しみはずいぶん軽減するかもしれません。
                                                                                                                                                                                                         

本日は『世界幸福デー』

幸福はハッピーと感じられる経験だけではなく、人間であれば誰もが経験する、苦しみや心の痛みを伴う状況さえも、それらが味わい深い人生の一部として、(ゆっくりと意味を変えて)豊かな経験であったとして残していけることではないかと思います。
         
今日はいつもより固めの文章になりました。
幸福を語るとき、いつも今、苦しみの最中にいる方々のことを思わずにはいられません。また自分の苦しみの経験にもアクセスし、何か尊い気持ちにもなります。

 


世界幸福デーにあたり、

みなさんが苦しみから解放されますように、

(ゆっくりと)それらを豊かな経験と変えていけますように、

おしあわせでありますように、

 

と心から願っております!


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お知らせ:

『サーチ・インサイド・ユアセルフ』プログラム 2024年5月期の受講者募集開始は3/23から!

グーグルが開発、マインドフルネスを活用して内側のリソースへの扉を開く、世界50か国10万人が受講した、「サーチ・インサイド・ユアセルフ」の2024年5月期の受講者募集を3/23より開始します! テクノロジーの進化、社会情勢の変化など変化の多い環境の中、ますます「EQ:心の知性」の重要性が増しています。世界クオリティのプログラムをぜひご体験ください。

 

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